日本のものづくり

昔ながらの技法や素材を使って、職人が一本一本丹念につくりあげる「江戸刷毛」。それら「用の美」は圧巻です。

江戸中期に発行の書物にも「江戸刷毛」という名称が使われており、昔ながらの技法や素材を使って、職人が一本一本丹念につくりあげられています。今日、東京都指定の伝統工芸品として指定されている刷毛は7種類。

・ふすま、掛軸など表具の糊を塗る「経師刷毛」
・版画の制作に欠かせない版木に絵の具を塗るための「木版刷毛」
・織物のための「染色刷毛」
・和化粧に使われるおしろいを塗るための「白粉刷毛」
・人形の頭に貝殻から作られる日本古来の顔料、胡粉(ごふん)を塗る「人形刷毛」
・漆器に用いられる「漆刷毛」
・ニスやワックスを塗る「塗装刷毛」

創業以来、つくり続けている刷毛やブラシは、いまも豚や馬、山羊、猪といった天然の毛を使っています。太さや硬さ、コシなど、用途に応じて最適な毛を選びます。指先の感覚で行われる「手植え」や「植え込み」といった伝統技法は熟練した職人だけがもつ、まさに「技」。しかし、伝統の踏襲だけでは300年という時の風雪に耐えられるものではありません。今日も江戸屋があるのは、伝統への信頼を置きつつ、常に時代の変化に伴い生じるニーズに対応してきた未来志向の姿勢にあります。古くはお台場にあった大砲用のブラシから、近年ではIT機器の洗浄用ブラシまで、時代時代の要請に応じて専門性の高いブラシを数多くつくり続けてきました。今後も、伝統だけにこだわることなく、新たな価値を生み出してまいります。

中央区まちかど展示館

「用の美」を備えた手づくり刷毛を展示している店舗内の壁面ショーケースには、さまざまな役割を果たす刷毛の展示品が並びます。それらを眺めるだけでも、その種類の豊富さは一目瞭然。「経師刷毛」ひとつとっても何種類もあり、ひとつひとつが職人の手で細やかにつくられ、その丁寧さと美しい仕上がりには驚くばかりです。展示は馬毛でつくった判子や大正時代の註文帳など、刷毛のほかにも面白いものを見ることができます。このすべてが、江戸時代から今まで使われており、連綿と受け継がれています。

江戸屋所蔵刷毛ブラシ展示館 | 中央区まちかど展示館

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